マイコプラズマ肺炎という肺炎の一種が、毎年秋、冬に流行る。
高熱が続くこと、苦しいくらいの咳が出ることで知られているが、子供がよくかかることでも有名だ。
でもこのマイコプラズマ肺炎、実は大人も油断できない。
私の友人で、真夏にこれにやられて高熱が続くのに、職場へ向かうという壮絶な体験をした女性がいる。
「いったん下がったと思った高熱が日中に出てしまい、休むに休めなかった」
というのは彼女の言い訳だけれど、一つ間違えばどうなっただろうか?
しかもその後、痰のからんだもの凄く苦しい咳がいきなり始まり、数日続いたという。
そもそもマイコプラズマ肺炎というのは何だろうか?
高熱が続く状態がいきなり来たらたまらない。
どうすれば防げるだろうか?
マイコプラズマ肺炎の患者は8割が子供!しかし大人も油断できない感染病
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという病原体に感染して引き起こされる肺炎の一種で、咳や高熱が続くことが主な症状になる。
学校や職場など、人が大勢いる場所で感染して発症することが多い。
そして大きな特徴として、患者の8割は乳児から中学生程度までの子供たちがかかるのだが、大人も同様にかかってしまうことがある。
私の友人女性の場合、どうやら人混みで移されたらしいと言うから怖い。
熱が下がったと思ったら日中にぶり返した
そのマイコプラズマ肺炎にかかった彼女、ある真夏日の晩、変に体がかったるくなって念のため体温を測ったらいきなり38度の高熱。
明日も出勤日なのにどうしよう、と思案したものの、もう良い頃の夜更けだったという。
仕事を休むなど、連絡を入れることすら無理だった。
仕方がないのでできるだけの悪あがき、いや対策をとったと言う。
あいにく解熱剤が手元になかったので、その夜は「冷えピタ」を貼って保冷まくらで冷やしまくって寝てみた。
そのせいか、明くる朝には36度8分にまで下がったそうだ。
安心して職場に向かって仕事をしていたところ、やっぱり何だか体がだるい。
とにかくフラフラしてしょうがなかった。
これは何かある、と踏んで上司に言い訳して最寄りの総合病院に休み時間中足を運んだという。
そこであらためて体温を測ったところ、何と39度。
同時に彼女がマイコプラズマ肺炎にかかっていることも判明。
彼女よりも医者がびっくりしたという。
「熱が39度ありますよ!」と医者(女医だったそう)。
「はあ、ちょっと高いですね」と彼女。
「いや、ちょっとじゃないです!」と、医者にツッコまれたという話。
いやはや彼女ときたら、ド天然というか何というか。
急いで1時間半かけて点滴注射を2本打ち、ようやく楽になったそうだ。
「飲み薬よりも何と言っても注射が一番効くよね」
と彼女。
いやそんな問題ではないのと違うだろうか?
高熱が続くのに案外元気?
ただ、彼女の場合もそうかも知れないけれど、このマイコプラズマ肺炎は高熱が続く事もあるし、それ以前に何といっても「肺炎」というととんでもない重病だ。
だのにマイコプラズマ肺炎にかかって高熱が続く場合でも、彼女本人はけっこう元気だったと語っている。
でも、こういう風に意外と元気そうでいるのがマイコプラズマ肺炎の特徴になる。
彼女も、どうしようもなくフラフラしてデスクに突っ伏しかけるまではきちんと仕事は進めていたと語っていた。
しかしやっぱり限界というのもあった。
「どうしようもなくだるくて、これはもう相当に熱があるのが自分でも分かった」
と語っている。
仕事が午後になった当たりで、デスクで「死んでいた」そうだ。
炎天の中、40度近い高熱を出して最寄りの病院に行った?
その後、とにかく何とかしなくては、という彼女の生存本能が目覚めたらしい。
お盆近い真夏の炎天の中、焼けるような直射太陽に照らされながら、延々10分かけて歩いて病院まで向かったと語っている。
「途中で倒れていたらもうアウトだった。今考えれば救急車を呼んだ方が良かったかもね」
武勇談みたいに語る彼女だ。
女にしては度胸が据わっているというか、そのくらい先に知恵が回らないものだったのだろうか?苦笑
高熱が引いたと思ったら猛烈な咳が
点滴の後は頑固に続く高熱も引いて、一段落したものの、それからもまた大変だったようだ。
とにかく咳、咳。
体の内臓を絞り出すようなきつい咳がガンガン出始めると止まらない。
電車の中でもものすごい咳が続き、周囲の視線を気にする間もなかったそうだ。
もちろんずっと続くわけではなく、思い出したように間欠的に出るわけで、いったん咳き込むともの凄く激しい。
この咳が延々と一月くらい続いた、と彼女は語っている。
ただ、マイコプラズマ肺炎というのは保菌者から出されるこういう咳やつば、くしゃみをするときに含まれる病原体が感染源になることが多い。
潜伏期間が長く、風邪と間違えやすいという特徴も
それから、念のために言い添えるとマイコプラズマ肺炎の病原体に感染してもすぐに発症するわけではない。
潜伏期間が意外と長く、2,3週間のインターバルがあることが知られている。
だから、実際発症したとしてもいつどこで感染したかも分からないことの方が多いはずだ。
これもずいぶん怖いことではないだろうか?
そして、そういう感染ルートのために、予防の対策がほぼとれない。
予防接種などもないし、確かに秋、冬に多くなるけれど、基本的に四季を通じていつでもかかる病気でもある。
そして症状はこういう風に高熱が続く、しつこい咳が続くことが中心のため、風邪の症状と間違えてしまいやすいということも特徴の一つだ。
また、彼女のように高熱が続くかと思えば下がってしまう、そしてまた上がって高熱が続く、などということもよくあるパターンのようだ。
だから彼女のように、熱が下がったら「直った」と安易に思い込んでしまうこともよくある事のはずだ。
だとすれば彼女も危機一髪で病院で治療を受けて、その中でマイコプラズマ肺炎と判明したようだけれど、そうじゃなくて最悪の場合だったらどうだろうか?
マイコプラズマ肺炎などとは知らずに仕事などを続け、運悪く高熱が続く時点で仕事や勉強など、非常にデリケートな時点にさしかかっていたり車の運転や道路の横断など、どうなっただろうか?
それだけは考えると怖気(おぞけ)が振るう、と彼女も語っていたが。
変な咳、変な熱が出たらとにかく診察を
だからここで一つ言い得るのは、とにかくそういう普通の風邪とちょっと異なる症状が出てきたら、迷わずに医療機関で診察を受け、適切な治療をしてもらうに限るだろう。
自己判断だと、やっぱりこういう複雑な病気は冗談抜きで自分の墓穴を掘ることになりかねない。
友人彼女の場合は幸運が重なったようなところがあるし、決していつも運を期待しない方が賢明だ。
万一発症したらそういう症状を見逃さないよう、どうかご自愛いただきたい。
遠藤朱夏(えんどう あやか)