紫外線が強くなる時期、肌の中で一番弱い唇は、他の部分よりも早く荒れたり日焼けしてしまうケースが多くなる。
そんなとき、ワセリンを利用すると、なまじのリップケアよりもずっと効果的なことが多い。
特に仕事で外回りの時間が長い、エアコンの効いたオフィス内で長時間過ごす人はそんなリスクが強くなる。
唇が荒れるのは乾燥が主な原因だが、元々保湿剤として利用されているワセリンは大きな効果が期待できるのだ。
その具体的な塗り方をご紹介しよう。
唇の荒れにはリップクリームよりもワセリンの方が効果的な場合も
ところで貴女は、紫外線が強い時期に唇や肌が日焼けで荒れるのを防ぐため、リップクリームやサンスクリーンを使って見た結果、かえってよけい肌や唇が荒れる、という経験をしたことはないだろうか？
実は意外と生じやすい肌トラブルのケースがこれだ。
その理由は、サンスクリーンなど日焼け対策用のローションやクリームに含まれている成分がきつすぎて肌に合っていなかったということにある。
特に敏感肌の方などに対してはこういう成分が過度に肌や唇を刺激してしまい、逆に肌荒れとなってしまいかねないのだ。
だがワセリンだったらそういう心配がない。
というのは基本的にワセリンというのは原油から精製して作られた「油分」なので、肌に塗っても皮膚から吸収されることがないからだ。
加えてサンスクリーンのように複数の成分が入ったものではないので、そういう「別な成分のために起こる肌トラブル」にもかからない。
この結果、副作用がきわめて少ないのが特徴で、基本的にワセリンを肌や唇に塗っても特別な事情のない限りは大丈夫といわれている。
油分だから保湿の働きはある意味最高だし、紫外線の強い時期や、唇など肌の弱い部分に最適と言えるだろう。
これはワセリンだけに見られる大きなメリットで、ぜひ押さえておくとよい。
いろいろなワセリン。基本的に白色ワセリンかそれ以上の精製度の高いワセリンがオススメ
ワセリンの種類について、ちょっとまとめてみよう。
ワセリンは種類が豊富で、精製のレベルや混入物によってだいたい下のとおり5種類に分かれる。
注意しなくてはならない点は、こうした種類の内で貴女の肌や部位、または目的によって選び方や使い道も変わってくるはずだから、それを貴女ご自身に合わせていくことだ。
- 工業用ワセリン（黄色ワセリン）
- 白色ワセリン
- プロペト
- サンホワイト
- ヴァセリン
「工業用ワセリン」は文字通り「工業用に使われるワセリン」で、機会のさび止めなどに使用され、人体には使われないワセリンになる。
精製度も一番低く、ふつうは私たちが利用することがない製品になるので、このへんはひとまず“豆知識”レベルで覚えておけばよい。
この工業用ワセリンには、不純物が多く混じっていて純度が低いため酸化や劣化が生じやすく、これを防ぐために防腐剤や酸化防止剤などを混入していたりして、そのせいで黄色い色がついている。
黄色ワセリンという名前はここから来ている。
普段使いに最もポピュラーなワセリンで、上でご紹介した工業用ワセリンよりも精製度が格段に高い。
この白色ワセリンは日本薬局方で第三類医薬品にも指定されていて、要するに信頼性は「お役所が公認」したレベルと言うことだ。だから安心感、信頼性とも抜群になる。
そしてうれしいことに値段もすごく安い。
基本的にこの白色ワセリンを使っていただければ普通はまず大丈夫。
ふつうの肌の方だったら十分だ。
敏感肌やアトピーなどでとりわけ肌がデリケートな方は、さらにその上のプロペトやサンホワイトという製品もある。
もし白色ワセリンを使ってみてご自身の肌に合わないようなら、こういう製品を使ってみることがオススメ。
このうちまずプロペトは白色ワセリンよりもさらに不純物の混入を除いて純度を高くしているもので、よくいわれている使い方は、赤ちゃんの肌荒れとか、目の周りの軟膏剤などに使用することもある。また、皮膚科の保湿剤として処方されることもあるようで、種類によってはそういう医療専門のレベルでの使用にも耐えられるものだ。
プロペトよりもさらに純度の高いワセリンで、高品質な白色ワセリンにあたる。このため乾燥からくる敏感肌の方、唇など粘膜の保護や赤ちゃんから成人まで安心して用いることができる。また高純度のため、物質的にも安定していて、紫外線や熱に対して耐性があるとされる。
高品質な分、他の種類のワセリンよりも割高感は否めないが、たとえばアトピーの方とか、プロペトでもアレルギーが出てしまう方などはこちらを試してみるとよい。
またとにかく「敏感肌なのでまず一番安心できるものが欲しい」と思う方にはオススメだ。
番外のような種類になるけれど、イギリス・オランダに拠点を置く「ユニリーバ社」から提供されて世界的に愛用されているブランド名がこの「ヴァセリン（Vaseline）」になる。
ふつうのワセリンに香料やビタミン類を加えたものと考えてよいようだし、またそういうふうにワセリン「以外」の物質をあえて入れているために種類も豊富にあるし、コスメ指向な製品にもなっているようだ。
でもそのわりに値段もすごくリーズナブルに設定されていて、確かに愛用者も少なくない。
難しいのは、そういうふうにこのヴァセリンは「純粋なワセリン」を目指しているとは言えないし、その意味で他の種類のワセリンとハッキリ一線を画していると言えるのかも知れない。
そして、問題になるのはそういう「ワセリン以外の物質が、自身の肌に合うか合わないか？」という点だろう。
ヴァセリンが肌に合っていて、愛用している方はすごく熱い視線だと思うけれど、上の様なポイントがあるために肌に合う方とそうでない方がハッキリしているようだ。
唇が荒れるのを防ぐワセリンの塗り方
その白色ワセリンを唇に使う方法は簡単で、ワセリンを容器から指で少量すくって唇に薄く塗る。
注意すべきことは、厚く塗りすぎないことだ。
ワセリンはテクスチャーが重いので、塗りすぎることでべたべたギトギトしてしまい、見栄えが悪くなるし、唇の感触も変になってしまう。
そしてそのからこの時期日焼けを防ぐために日焼け止めのリップクリームを塗っておくのがベストだ。
日焼け止めをなまじ肌や唇に直接塗ると、上にお伝えしたようにかえって刺激が強すぎて肌トラブルを起こしやすくなる。
ワセリンを間に塗ることで日焼け止めが直接肌を刺激することを防ぐことが出来るのだ。
唇だけでなく、肌にも有効な方法なので、ぜひ活用していただきたい。
入浴後や寝る前に塗っておくと効果的
なお、いつ塗れば一番効果が高いのか？という疑問もあるかもしれないが、やっぱり一番良いのは入浴直後、つまり肌が一番潤っている時間がベストだ。
ワセリンは保湿剤だが、同時に肌がいったん含んだ水分をがっちり逃さないようにしてくれる。
なのでお風呂上がりの直後、肌や唇が一番潤っている時間に、その上からワセリンを塗ると良いだろう。
その他、私はよく寝る前に唇や肌の荒れやすい箇所にワセリンを薄く塗ることが多い。
朝起きた時に口の中や唇がすごく乾燥していると感じる方は多いと思う。
私もその一人で、その原因は睡眠時に口を開けて寝ているためだ。
なので口の中は別として、唇にワセリンを塗って寝ることで、睡眠中に唇が乾燥するのを防げるのだ。
蜂蜜パックで、3日後のぷるぷるな唇を目指そう！
その他、手間をかけることに多少の余裕がある人は、ハチミツとワセリンを混ぜて唇をパックする「蜂蜜パック」を就寝前にしておくと良い。
ハチミツは消炎効果とともに、ワセリンと並んで保湿効果も抜群、さらにビタミン類などの栄養分も豊富な健康食品だ。
このハチミツとワセリンを等分に混ぜ、それを唇に塗ってその上から10分ほどラップをかぶせておく。
そして10分後にラップを外してティッシュで軽く拭き取り、再度ワセリンを塗っておくと良い。
こうすると元々唇の荒れていた人でも最短で3日後にはぷるぷるの唇になれる。
これが以前NHKの朝の情報番組「あさイチ」で紹介されていた蜂蜜パックだ。
もちろん単にワセリンを唇に塗ってラップをかぶせても良い効果が得られるし、連日やらなくても、一週間に2，3回のペースでもかまわない。
そういうわけで、ワセリンは唇の荒れを防ぐすばらしいアイテムということ、その使い方や選び方などをお伝えしてみた。
ワセリンは白色ワセリンならば500gほどのボトルタイプでもわずか1000円で買える、リーズナブルな製品だ。
その上のプロペトやサンホワイトになると割高感があるが、それでも高価なローションや化粧水よりもずっと安いし、効果も安定している。
中には今まで自分なりの化粧品ばかりを愛用していて、他の化粧品を使った経験がない方も多いにちがいない。
でもワセリンならそんな方にもおすすめできる。
特に日焼け止め成分の入ったリップクリームを使って唇が荒れて困っている、そういう受難を繰り返している方もいると思うので、試してみていただきたい。
その他にも私もよくやっているのだが、目じりの小じわがこの頃気になってきたので、ワセリンをそこに塗ってみたりしてみたら、かなり小じわが目立たなくなった。
アラサーを越えて夜更かしが続くとやっぱり細かなしわはショックなほど気になる。
そんなとき、ワセリンがこんなに効くとは思わなかった、というくらいにうれしい効果があるので、目じりのしわが気になる方はチャレンジしていただきたい。
遠藤朱夏（えんどう あやか）
