婚活は地獄。
この言葉が身にしみる年齢となって久しいが、よくいわれる相手への高望み。
年収だとか、学歴や相性、縁戚関係や家柄だとか、いろいろポイントを取り上げて探してみれば、そりゃ高望みになるだろうな、と常識で考えてもそうなる。
でも辛いけれどそれが婚活の実情だし、高望みと非難されたとしても将来のことを考える限り、少しでも良い相手を探すのはやっぱり人情だ。
だがはっきり言って、
「あなたたちはやり方を大間違いしている。探すものが違う」
といい出す既婚の女性が私の近くにいるから困る。
だが話を聞いてみると確かにある程度納得するところもある。
実体験として彼女が今の旦那と出会ったいきさつ、そして彼女なりの蚊結婚相手への考え方がすごく面白いので、ちょっと必見だろうから語ってみよう。
高望みは婚活を目指す男女に当然の感情!?
よく私たちが考えていく相手の男性への条件は何と言っても第一に年収となる。
だが正直なところ、婚活相手として普通に言われているような年収をどれだけの割合の男性が稼いでいるだろうか?
私たちと同年代、つまり20代後半から30代の男性で、結婚生活に必要な一番最低ラインとなる年収400万を稼いでいるのは全体のわずか2割3割といわれている。
年収を言ってしまえば非常にか細い割合だ。
これだけ取れば、おおざっぱに言って相手にあぶれている女性7割強。
単純計算で、それがひとまず生涯全然結婚できないこととなるのだ。
つまりこの時点で、目指す年収を稼いでいる男性へ向けて婚活女性が群がっていくこととなる。
しかしこの年収は家庭生活を送る上での最低限と言われていて、これを崩すことは難しい。
そしてこれに家庭生活を平和で円満に送る条件として、家族の中の問題や学歴、そしてルックスや健康状態など、必要最低限と考えられる条件のみを挟めばそれこそ東大合格率みたいに途方もない数字になるはずなのだ。
だが結局のところ、結婚生活を穏便に営むことを考えれば、どう見ても以上のような条件は必要最低となる。
それを高望み、と非難されるのならもう仕方がない、としか言いようがない。
そして女性だけでない、男性からも似たり寄ったりの条件が出てくるだろうし、これ自体はもう悪いと決めつけることは出来ない。
それどころか、
「結婚相手に数字だけ求めたら当然そうなる。私だってそうするよね」
というのがかの既婚女性の彼女の感想でもある。
なのでこの時点で非難と現実直視との間で堂々巡りが繰り広げられてしまうのだ。
婚活で、数字を追う以上に大切なことがある
婚活というと、自分が結婚したいから、結局自分の条件だけを突きつけて、相手を選ぶという努力が基本になる。
そこには何の感情も相手への尊敬も配慮もない。
ましてや結婚生活に入る一番の前提となる、夫と妻との心の関係もない、と彼女は言い切る。
「人事の経験ある人は書類を見たりしただけで、その人がどんな人か判るかもしれないけれど、普通の人にはムリだしね。
恋愛してたって相手がだまそうとだましていなかろうと、こちらは相手の男性に対してそういう恋心を持つじゃない。全部それで片付けられないけれど、こういう婚活になるとモロそういう気持ち抜きハート抜き。
だからその分相手を信頼できなくて、勢い高望みになるのは無理ないよね」
「要するにカタログ見て買おうとする商品を決めていくのと同じようなものじゃないの?
良さそうな数字と出会うかもしれないけれど、一番大切な『人』の部分と出会うわけではないし」
彼女のコメントには私でも多くの反論があるし、婚活だってちゃんと成功している人はいる。
そういう人たちが全てそういう風に履歴書みたいな書類の審査が符合して結婚したとは思えないし、その後円満に生活している夫婦だっているはずなのだ。
そういうことを私が言うと、彼女はこう言う。
「出会いを人工的に作り上げて、短時間で書類と面接で多くの人と『出会う』というのが今の婚活でしょ。
私もそうしたシステムの全てがムダとは思えないし、ちゃんと良い結婚生活している人はいるだろうと思う。
でもそういう即席の出会いをつくるよりも、ちゃんと自分の地道な努力を重ねて男女問わず多くの出会いをつくることから出発した方がずっと良いと私は信じてるんだけどね。
出会いがないというのは大方の人の不満になるけれど、世の中出会いをつくろうとすればいくらだってチャンスはあるはずよ。
別に好んでいかがわしい出会いをつくれと言うワケじゃない。
それこそ地域のイベントやスポーツなどを通していろいろな人にも出会えるし、男女共同で出来るテニスなんかはよく聞かれる出会いの場だしね。」
「そういう年収とかの数字も大切なことには違いないけど、数字で結婚相手を見つけるよりも、ちゃんと人として男性として信頼を置けて、こちらの心が動く相手を見つけることだろうね。
そのためには何をするべきか?
そこから出発してじっくり考えた方が良いと思うけどね」
高望みになっている数字を何かに置き換えて婚活すること?
まず彼女の語ることとして、高望み自体は人情でもある。
それをやめることは、むしろ危険なのかもしれない。
それよりもそういう婚活で高望みに走る気持ちを、そっくりそのまま愛情に転換出来ればよいのではないだろうか。
「よく考えればね」
と続ける彼女。
「私の今の旦那、正直言って400万どころか300万も稼いでいないよ。私も手伝ってパートしているし、家計見たら火の車一歩手前って感じかもね。
結婚する前から判っていたし、でもそれでも結婚する決断したのはなぜだと思う?
変な言い方だけど、結局愛情かもね。
今の旦那、バカが付くくらい正直な人で、平気で自分はこんな低い年収だってはっきり結婚前に付き合っている時から豪語している人だったよ。
それでも一緒になってほしい、と口説かれて結婚したんだけど、あんな人と同じ婚活パーティーで出会っていたら私の方で目もくれなかったに違いないし。
人間だから誰でも欠点があるし、それを突っつくしかないのがこういう今の婚活の仕組みかもしれない。
結婚したければ婚活から離れて、普通の男女の出会いから始めた方が良いんじゃないかな。その中で目の止まる相手がいたら良いと思うけどね」
婚活で高望みは捨てられない?愛情をはぐくめる出会いを大切に
そんなわけで彼女の言葉を中心に様々に語ってきたが、結婚というのは基本的に物質的な条件もあるが、それ以前の問題として、いかに愛情を持ち続け、はぐくんでいけるかがマストになる、というのが彼女の主張だ。
彼女は音楽好きで中学高校と楽器を演奏していて、社会人になった後、暫く遠ざかっていたが20代後半になってから地域の楽団で演奏していたという。
そしてその楽団でたまたまパートが一緒の男性と出会い、それが恋愛に発展して結婚したそうだ。
職場結婚もそうだが、男女が共同して同じ目的に向かえるような環境があれば、積極的に参加してみてね、と彼女。
婚活市場では、女性の方から高望みしようとしまいと、35歳以上になると実際の結婚出来る確率は2%を切ると言われている。
努力が全くムダだとは言いたくないが、あなたは最低でもその2%になれる自信があるだろうか。
えがみななみ