男心をくすぐる、その意味はけっこう深いものがある。
二人の関係を強めて結婚にまでぜひ結びつけたい、そういう女性にとってはやっぱり知っておいた方がよい。
そういう触れ込みで、ちょっと前に最近ファミマの書架で見かけたのが
『おとこ心がわからない女、おんな心がわからない男』(斉田直世 著 栫井利依 監修)という小さな本。
コンビニの店頭で売られている本らしく、それほどページ数もなければ手際よく男心をくすぐるノウハウ、そして男に嫌われない秘訣なども書かれている。
ただ、立ち読み程度に流し読みしただけだけど、この本万人向けではないかも知れないし、こういう小さな書籍で男と女の関係がくくれるほど甘くはない。
私はそう信じているし、事実どこのどのページがそうだというわけではないが、私はここに書かれているのとは違ったケースを体験したことがある女だ。
この本を全面否定するわけではないけれど、そういう意味から考えてもっと普遍的に好きな男性とどうやれば成就することが出来るのか。
そしてそのためには男心をくすぐる、その意味が大変深いものとして映ってくる。
それをお伝えしてみよう。
女心と男心は水と油!だから返って男心をくすぐることが出来る?
この本、ごくごく単純に考えてみれば斉田直世さんという子持ちの既婚者のコメントだ。
既婚者だから自分の経験も交えてそれなりにセンセーショナルな書き方になっていることは否めないだろう。
私の知り合いにも結婚している同い年の女性がいるが、既婚者の立場から考えても男心と女心は全く異なったベクトルを持っている。
そんな男心をくすぐる意味は例え結婚した後でも夫婦円満になるためには必要な知恵だと言ってよい。
男心を女の立場から一言で言ったらどうなるか?
あくまでも私の考え方だが、『自己主張』の一言に限る。
そして女の方はそれを『受容』。つまり男の主張を受け入れることだ。
「男心をくすぐる気なげさが大切だ」などという主張をよく目にするが、「気なげさ」というのは要するに
“そういうそぶりを相手に感づかれない、見つからないように振る舞う”
という意味をもつ。
したり顔、私はいかにもあなたをそういう気持ちで気を誘うぞ、というそぶりを決してみせず、まるで空気のような感じで男性に付き合うこと。
ということは、結局
“女の方からは男の主張を真っ向から立ち向かわず、自然に受容する立場に回る”
そう言ってもよいかも知れない。
こう表現すれば相当に普遍的な、応用の利く表現になっていると思うのだがどうだろうか。
女性の中にはこう聞いて不愉快に感じる方も多いかも知れないが、女の方から言い込められてぎゃふんとさせられると後々まで根に持つ。
男性陣には申し訳無い言い方だが、少なくとも私の周囲の男性はそんな感じだ。
男と女は生理も気性も真っ向から反対!だから添い遂げることが出来る!
結局のところ、そういう男と女は、斉田直世さんのこの本のように
『おとこ心がわからない女、おんな心がわからない男』
というタイトルにきれいに関係が表れてしまっている。
両者はいつまで経っても永遠に二本のレール。
交わることなんか無い。
本当にわかり合えることなんて無いのだ。
こんな風に主張するとすごくクールに聞こえてしまうかも知れない。
だが、結局のところ人間というのは面白い。
男と女の関係、別な言い方になるけれどこの一語に尽きるとも私は思う。
両者の心の底、気持ちというのは生物としても永遠にわからないままだろう。
だが、だからこそメスとオスという自然の摂理による絶妙なかみ合わせのロジックが働き、二人は切っても結ばれる関係にもなれる。
そうではないだろうか。
よく男性が自分たち男性のことについて言うのだが、
“男同士だからわかり合えることが多い”
“男同士だから互いの心情がはかれたりする”
という言葉。
これは女同士についても同じことだ。
だが、だからといって男同士が、また女同士が心の底からいつまでも仲良くできるものだろうか?
女の立場からそれをいうと悲しくなる。絶対にムリだ。
特に女同士は。
男心をくすぐるのは、今の社会だからこそ一時で終わらせないことが大切
女が自分の意志を主張するのはよいが、それは男の側の領分と重ならない部分でのみ許される。
私はこれを自分の父親から聞いたことがあった。
昔の父系社会の中で育った父だからこそ言い得るのかも知れないが、反面それまでの日本の社会構造を支えていた家という一つの単位の中で、それを維持するために長年にわたって受け継がれていた生活の知恵、家庭存続の要とも言えるものなのかも知れない。
そしてそういう風に私の思考を形成している、そういう片鱗がここにあるかも知れないが、逆にもしも女の方からそういう仕事の内容とか、かつては男の領分だったものについて事細かく女が口を出すのが現代の社会。
そうなると男心をくすぐるという行為、いってみれば結婚や恋愛でいい思いをしたいがために、その期間だけに弄するもの。
そういうような意味しかなくなってきているのではないだろうか。
男心をくすぐることで、相手の男性の気持ちを自分に引きつけ、そして恋愛関係を潤滑にする。
多くの女性はそこまで考えるのが精一杯だろう。
だが今現在を一番重視する女性と異なり、男性の多くはそういう相手の女性といっしょになり家庭を持った時、果たして未来はどうなっているのか?
そういうことにまで本当に考えが及ぶものなのだ。
心底男心をくすぐるためには、そういう彼氏の将来への展望まで配慮すべきかも知れない。
女が出しゃばれば男はむかつく。
それが高じればケンカとなり、果ては別れ話、離婚に達する。
男をくすぐるというのは、その中に相手の男性を不快にしないでおく意味も込められているとお考えいただきたい。
だがそんな男性がいとおしいと感じるようならば、あなたは男心を女として一番よく理解している。
きっとそう言ってよいに違いない。
山口昌子(やまぐち あきこ)