同棲というのは結構別れてしまう確率も高い。
でも長年いっしょに暮らしながら別れたい、という段になると、やっぱり腐れ縁みたいなところもあるし、相手の男性との間に知らず知らず情が湧いたりして、かわいそうとも思いがちだ。
事実私の友人などは過去に何年も好きな男性と結婚まで秒読み状態になっていたにもかかわらず別れてしまった女性もいたりする。
彼女もその時、別れたいと思いながらもけっこうそういうしがらみのような情に悩んでしまったらしい。
結婚生活の前提として、好き合った男女同士が同棲するというパターンはよく聞くが、いざ失敗して別れるとなると長年夫婦のような関係を築いていた手前、どうしてもためらってしまうものだ。
情を立てればなかなか将来も思い通りにならなくなる。
そんなとき、どういう風に考えていったらよいのだろうか、ちょっと友人女性の経験談とともにそういう気持ちの整理について考えてみよう。
情は同棲の別れで最も辛いものとなりがち
好きな男女同士が自然の成り行きで結婚する、その準備段階のつもりで続けていた同棲が上手く行かず、結局別れ話になってしまうまではよいけれど、その後どうしてもスッキリしないところも多い。
別れる前は失敗しちゃった、別れたいと思っていたけれど、いざとなるとやっぱり、という感じでどうしても情が先に立つ。
それがむしろ普通の人の気持ちではないだろうか。
同棲に未経験な私だって、彼氏と別れた経験もあるし、そのときにはやっぱりそれなりに辛かったし、それこそ心の整理もなかなかつかなかったものだ。
そのときやっぱり私自身の気持ちの中につかず離れず沸いていたのは情。
結局それなりに本気で好きになっていた彼氏だったし、相手の男性も本気で私と結婚しようとしていた。これは間違いない。
よけい悲しくなるので詳しくはかけないが、それをひっくり返すような出来事が起こってしまったことがある。
友人からの忠告、そして自分自身痩せるほど悩み続けた結果、彼氏と別れることとしたのだが、後々彼氏の悲しんでいる様子が耳に入り、よけい情が湧いてきたことがあるし、今でも思い出すとその気持ちを引きずるほどだ。
別れたこと自体が失敗のような気が、今でもしてならない。
だが同棲生活を長々していながら別れてしまった経験をした友人女性の話は、そういう私の経験の上を行くほどに情の部分で大きな重荷になっていたのは自然の成り行きというものだろう。
夫婦のような生活を長年してきて、当然結婚するものと思っていたパートナーがある日を境に目の前から姿を消し、それとともに自分の住んでいた部屋や環境もガラリと変わってしまうのだ。
切り裂かれる情の痛みを受け入れられるかどうか、その勇気が問われている
ただ、同棲が未経験な身分でありながらもあえて言わせてもらうとするならば、結局そういう情にほだされて実の結ばない同棲生活を続けているのは、どう考えてもお互いの将来にとってよくはないはずなのだ。
それがたとえば大学時代や20代前半とか、まだ社会人として未熟な年齢や経験の浅い人々のことだったらそういうずるずるべったりな部分もある意味許容の範囲なのかも知れない。
だが私たちのようにある程度社会経験も身についた年齢の女性達にとっては、もっと冷静に、そして合理的に将来を見通す判断、そして勇気も求められるのではないだろうか。
はっきり言ってしまうと、情にほだされて実にならない同棲をいつまでも続けているというのは、飼っていた犬や猫をいつまでも悲しんでしまい、その悲しみから抜け出せなくなっているのと同じように思うのだがどうだろうか。
いつかはどこかで別れを体験しなくてはならない。
湧かれたいという気持ちを押し通して実行すべき時が来るものだ。
同棲も失敗すれば、それはそれで教訓として正面から受け止めなくてはならないのだ。
その別れの時の悲しみを考えれば、確かに相手の男性に対する情もわくし、また自分自身の苦しみも間違いなく予想できてしまう。
だがそれから逃げることは、もっと辛い将来が待っていることになるはずなのだ。
私の経験と、そして同性の経験者である彼女の主張とをない交ぜにして上のように語ってみた。
もちろん相手の男性との同棲生活はペットの犬や猫との死別とはまた別かも知れないが、別れの悲しみというくくりでは通じるものがあるのではないだろうか?
これはその友人女性の意見だが。
情によって冷静な判断を鈍らせないこと
こうしてみると、同棲が失敗して別れるケースは同棲の内、8割に及ぶと言われているし、それだけ情に邪魔されて編に別れにくくなったり、別れ話がこじれたりするという、判断のミスにつながることも多くなると言えるだろう。
同棲も含めて恋愛というのは、楽しい期間こそ何も手をつけないでいても互いの関係がどんどん進んでいくものだ。
だがそれがいったん亀裂を向かえたりした際、本当にお互いにとってそのような関係がどれほど強いのか、大切なのかがわかってくるのではないだろうか。
中にはもちろん修復不可能な場合もあるだろうし、それでも離れないでいることが大切だとは一概に言えない。
だが社会経験を経た女性として、そういう悲しみ、別れの情に対しては背を向けず、きちんとした対応こそが求められてくることは間違いない。
女としての勇気も試されることとなるだろう。
別れたいという気持ちを大切にして、それを保つことも必要なのだ。
ただ、友人の女性の言葉を借りれば、そういう悲しみや苦しみがあったから、もしかしたら今の自分が同棲生活時代よりもしっかりした考えになっているのかも知れない、だそうだ。
きちんと事実に向き合うこと。
そして別れの悲しみをしっかり受け入れること。
それだからこそ、本当に自分にとって大切な男性を見つける素地ができあがるのではないだろうか。
もしも今現在、そういう気持ちや境遇の女性があなただったら、ぜひそういう風にあなたの背中を押したいと思う。
山口昌子(やまぐち あきこ)